独房から、取調室へ
佐々木典士

ミニマリスト 部屋

年はいつものように明けて、新年の誓いを立てる。
年が明けると、ぼくは自分を変えたくなっていた。

「ミニマリスト」が昨年1年で多くの人に知られるところになったし、ミニマリズムは国境を越えて、広まり始めている。去年の6月に願いを込めて書いた。「さあ、限界を超えて広がれ」と。
大成功だ。願いは叶った。


大きな反響があり、たくさんの取材を受けさせて頂いた。話すことがとても苦手だった自分が、講演までする機会を頂くようになった。大きな変化だ。

願いは叶ったが、ぼくは前に進みたくなっていた。たくさんの機会を頂いた。そして少しずつ、自分が「空」になっていく感覚を味わってもいた。前に進んでいるはずが、その場で足踏みをしているような感覚。忙しくはしていたが、インプットもアウトプットもどちらも足りなかった。それは状況のせいでもなかった。ただ自分の努力が至らなかった。

インプットもアウトプットも、もっと充実させたい。

そんなこんなで年が明けて、
なんと机と椅子を買ったんですよ!!

無印良品の折りたたみの机と椅子。
軽く、移動もスイスイと。
折りたたみなので、クローゼットに収納でき、
いつもの何にもない部屋にもすっと移行できます。

ミニマリスト 部屋

ミニマリスト 部屋

写真 2016-01-07 11 37 31

「お前は、床座でカイワレが売りだったのになんだよ!」
「結局、ムリをしてたのに我慢してただけか」

という意見が当然頭をよぎる。わかります! ごめんなさいね!

 

エアリーマットレスは快適で、机と椅子がなくても本当に何の問題もない。ただ快適すぎて、忙しい、疲れているという理由でぼくはマットレスでゴロゴロしてしまっていた。もっとインプットもアウトプットもしなければ。もっと集中して勉強したいし、書きたい。

机と椅子がなくても、ファミレスや図書館で勉強はできる。
だけど今年から大きな目標として早起きに挑戦したいのだ。
どこの店も開いていない時間、朝早く起きて、家の机で勉強する、書く。帰宅してからもゴリゴリ勉強する。

さらに勉強するモードと、リラックスするモードをきちんと分けたい。
そこで本当に寝るときだけにマットレスを出すことにした。

これが効果的だ。基本的に出ているのは机と椅子のみ。
モノは無言のメッセージを発している。仕事から帰宅すると、何もない部屋にぽつんと置かれた机と椅子はぼくにこう語って来る。

机「……おかえり、佐々木くん。さぁ、勉強しよか」

ミニマリスト 部屋

ぼく「((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

この部屋、なんか取調室みたいじゃないですか?」

 

フローリングの上に正座するより、机と椅子だけの取調室のほうが残念ながらストイックだ。空っぽになった自分を、また満たし始める時がきた。ぼくの中に新しいテーマが生まれつつある。その勉強をする習慣を手に入れたい。

 

最小限は伸び縮みする。
最小限は目的や状況によって変わる。
ぼくは今後も増やし、また減らすだろう。

 

モノは前より増えた。だけど、ぼくははっきりと言える。
これがぼくの今の「最小限」だと。

 

 

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この記事を書いた人

作家/編集者。1979年生まれ。香川県出身。『BOMB!』、『STUDIO VOICE』、写真集&書籍編集者を経てフリーに。ミニマリスト本『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』は25カ国語に翻訳。習慣本『ぼくたちは習慣で、できている。』(ワニブックス刊)は12ヶ国語へ翻訳。

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