レイヤーのマキシマリズム
佐々木典士

レイヤーのマキシマリズム <br /> 佐々木典士
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食べられる雑草を調べていると、道端に生えている草をまじめに見るようになりました。

 

左官や床貼りのワークショップに参加してみれば、お店のリノベーションの仕方に目が行き、

軽トラキャンパーを作ろうと建築をかじり出すと、お寺の見方が変わりました。

 

パックラフトで川下りの方法を教えてもらうと、車窓から見える川を「どうやって下るか?」という目線で見ていたりします。

 

 

つまり自分の関心のレイヤーを増やすと、そのレイヤーで受信できるものが増えて、前とは違った風景が立ち現れてくる。

 

松本の蕎麦屋でおじさんと相席になったことがあります。

歳の割に引き締まった体型、足元はアシックスのランニングシューズ。

おそらくランナーだと思い「マラソンに参加されるんですか?」と自分から話しかけました。

マラソンを走ったことがあるので、話は盛り上がり他の大会についていろいろと教えてもらうことができました。

 

 

子どもの頃は遊園地やゲームなどわかりやすい刺激だけが「おもしろい」と思っていましたが、まだまだレイヤーが少ないので当たり前かもしれません。子どもの頃にはつまらなかった地味~な史跡を楽しむには、歴史や地理の知識も必要でしょう。

 

こんな風に自分のレイヤーを増やしておくと、楽しめることも増えていきます。

 

ぼくの場合は小さなレイヤーをたくさん配置して、総面積を増やす方法です。(好奇心旺盛でいろんなものに手を出すけど飽きっぽい)

 

ひとつのレイヤーの面積を大きくする方法、何かに特化し深めていく方法もあります。

 

 

たとえば企業の経営者と将棋の棋士の対談が成立するのは、ひとつのレイヤーの面積が大きくなれば、他のレイヤーと重なりあう部分が出てくるからだと思います。ひとつの道を極めると、全然違うほかの道の結論となぜか似通うものになってきたりする。

 

 

レイヤーを減らして楽になることもあります。

たとえばぼくはお酒をやめたので、以前がんばって覚えていた日本酒の名前と産地の組み合わせとか、ピノ・ノワールとシラーがどうとかは今後忘れていくかもしれません。

 

しかし、もし目の前に転がっている石ころが楽しめなかったとしたら、自分に地層や鉱物の知識がないせいです。

 

 

何かを「おもしろくない」と思ってしまうときは、対象が原因ではなく自分のレイヤーが足りてないと思うようにしています。

もちろん自分を責めるのではなく、奮い立たせる程度に。

 

Author Profile

佐々木典士(sasaki fumio)
Writer/Minimalist/Timekeeper  ミニマリスト本「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」は17ヶ国語での発売が決定。1979年生まれ。香川県出身、京都在住。