新しいもの、同じものの魅力
佐々木典士

人の脳は「新しさ」を求めるという。

なぜなら、新しい情報を手に入れればそれだけ周囲の環境に詳しくなることができ、生存の可能性が高まるから。

 

 

なるほど、新しいモノは魅力的に見える。

しかしそれを脳が求めるままに買っていれば、逆に自分の生活はおびやかされてしまうだろう。

 

 

何に「新しさ」を感じるかというのは複雑な問題で、

いつも同じ服を着ることに新しい驚きがあったりもする。

(服に悩む時間がなくてすむ! 意外と気にされてない!)

 

 

ぼくが今やっている3食同じものを食べることもそう。

(買い物がめちゃくちゃ楽! お腹の減り具合も体調もいつも一緒!)

 

 

旅は「新しさ」の象徴のようなものだが、

毎日「旅」をしていると、旅自体が「日常」になっていくという。

 

 

ぼくは毎日同じ時間割で生活しているが、

毎日通う図書館での勉強には無限の「新しさ」がある。

 

 

いつも同じことをしていると、小さな変化を新しいと感じることもある。

同じ服だと、衣替えしたときの変化がすごいし(うわー、長袖だ!!)

ジーンズのロールアップをやめただけで、履き替えたような変化を感じたこともあった。

 

 

友人にしても、同じ人だから新しさがないわけではない。

ぼくが好きな人は、常に変化を続けていて、

この間会ったときとは別のことを考えているような人だ。

 

 

まったく新しいものばかりの環境では不安になってしまうし、

いつもの安心だけに囲まれていてもおもしろくない。

(どの程度「新しさ」を求めるかということには、遺伝の要素も示唆されている)

 

 

飽きるというのは重要な概念だが、飽きてばかりいてはたどり着けない「新しさ」もある。

語学でも楽器でもなんでもそうだが、続けていても「成長を感じられない時期」というのが必ずやってきて、新しさは同じことを続けた我慢のあとにある。

 

 

新しいものばかりでもだめ。同じものばかりでもだめ。

新しいものはいつか同じものになり、同じもののなかに新しさもある。

 

 

方法に決まったものはなくなかなかに悩ましいが、少しずつ新しいものを取り入れていくのが人生を楽しむ秘訣であることに違いはないようだ。

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この記事を書いた人

作家/編集者。1979年生まれ。香川県出身。『BOMB!』、『STUDIO VOICE』、写真集&書籍編集者を経てフリーに。ミニマリスト本『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』は25カ国語に翻訳。習慣本『ぼくたちは習慣で、できている。』(ワニブックス刊)は12ヶ国語へ翻訳。