習慣の難易度と充実感
佐々木典士

朝5:30に起きるのも、筋トレして7km走るのも、ブログを書き、英語を勉強したりするのもすっかり毎日の習慣になった。

 

今の自分がしているのはかつて「こんな風に生活したい」と思っていた通りの生活だ。

 

しかし、習慣が簡単にできるようになってくると「手応え」が薄くなってくる。

 

 

心理学者のチクセントミハイが研究した、人が何かに夢中になり、充実感を感じるという「フロー」という状態。それが起こるのは、自分にとって適切な難易度のものに挑戦しているときだという。ストレスになるほど難しくはなく、手応えがないほど簡単ではないもの。

 

難易度をあげる合図

 

ジムのインストラクターに、いつウェイトを上げればいいのか質問してみたことがあるが、答えは「簡単に持ち上げられるようになったとき」ということだった。

 

 

難易度の設定はなかなか難しく、厳しすぎると「ただ辛いもの」として認識して続かないし、簡単すぎても成長の喜びがない。だから以前は難しかったはずのものに手応えを感じなくなるのが、難易度をあげるべき合図だ。

 

 

たとえば一流のアスリートなど、自分から見れば想像を絶するような習慣もまた、こうやって難易度を少しずつ上げ続けていった果てにあるのだと思う。

 

失敗のしようがない目標

 

スティーヴン・ガイズの「小さな習慣」という本では何かを始めるときに「バカバカしいほど目標を下げる」ということを提案している。たとえば運動をはじめたいと思えば「腕立て伏せ1回」からのスタート。失敗しようがなく簡単にできるが、まったく運動をしていない人にとってはそれだけでも充実感がある。

 

 

そして何より難しいのは「始めること」なので、最初の1回を達成してしまえば、ついでに2、3回やろうかなと勝手に思えてくるものだ。

 

 

大切なのは、手応えは難易度によって大きな違いがないということ。はじめたばかりの人がする簡単に見えることと、玄人がやっている難易度の高そうなこと、どちらも本人の充実感はほとんど同じだと思う。だから臆せず始めるのがいい。

 

 

スティーヴン・ガイズ 『小さな習慣』

腕立て伏せ以外にももっといろいろな習慣を紹介してほしかったが、
「バカバカしいほどに小さな目標」という考え方は参考になる。

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この記事を書いた人

作家/編集者。1979年生まれ。香川県出身。『BOMB!』、『STUDIO VOICE』、写真集&書籍編集者を経てフリーに。ミニマリスト本『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』は25カ国語に翻訳。習慣本『ぼくたちは習慣で、できている。』(ワニブックス刊)は12ヶ国語へ翻訳。