友人に、英語の日記を毎日スマホでつけている人がいる。
日記は「自分の気持ち」「表現したいこと」を直接書くので、
英語を話すときにも、とても役立つということだった。
その友人は何年もそれを続けているが、
もちろん日によって書きたくないときもあるという。
そんなときはどうするかと言えば、
「書きたくない」と日記に書くというのだ。
この一行からすべて始まる。
「書きたくない。だって今日は仕事がとても大変で疲れているから。なぜ仕事が大変だったかと言えば……」
と、書き始めさえすればなんだかんだで書くことが続いていく。
中原昌也さんは「書きたくない」ということを、小説やエッセイに書き続けていたことがあって、
もはやひとつのテーマのような存在感を持っていた。
どうしても気分が乗らなければ
「書きたくない」という一行を書くだけでもいいと思う。
自分の気持ちの沈みを、日付とともにしっかり記録することになるから。
ぼくも日記を三年ほど続けているが、それだけの情報でも続けていれば自分のリズムがわかってくる。
そして何より、どんな形であれ「習慣を継続した」ということに変わりはない。
これは習慣を「形式的にでも続ける」というれっきとした技術でもある。
一行書いただけでも、何もしなかったこととは、天地の差があるとぼくは思っている。