電気自動車の本当の話をしよう!!
佐々木典士

新聞を読んでいると、ここのところEV(電気自動車)関連の話題がとても多い。

 

フランスは2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止。イギリスも追随している。
中国は来年から自動車メーカーごとに一定数の新エネルギー車(EV/PHEV)の販売を義務づける。
メーカーのほうでも、ボルボは2019年以降、すべての車をEVかハイブリッドにする。
VWも2025年までに30種類のEVを発売する。

 

 

ぼくが乗っているのは、三菱のミニキャブミーブトラックという、軽トラの電気自動車。(航続距離はJC08モードで104km)。

 

10月2日にはJC08モードで400kmの航続距離という、新型リーフが発売開始になった。

 

 

電気自動車に乗っている人は日本ではまだまだ少ない。2016年のシェアはたった0.1%だそう。(ちなみにノルウェーでのシェアは17.5%)。ぼくが電気自動車に乗りはじめて、4ヶ月が経った。だから今ならではの実感を書いておこう。

 

電気自動車を選ぶメリット

 

①排出ガスがない

 

ガソリン車が排出する二酸化炭素も、窒素酸化物もPM2.5も出ない。
自分が走っているときに手元からそういうものが出ていないというのは気分がいいものだ。

 

しかし、当然ながら電気が作られる川上の方法を含めて見なければいけない。
電気が作られるときに大量の二酸化炭素が排出されていては、いくら自分の手元から排出ガスが出ていなくても意味がないからだ。

 

電気自動車を選んだきっかけのひとつは、たとえばドイツなど、国によっては太陽光発電が今コストの面で優れており、環境面への配慮ではなく、経済的な理由としてそれを選ぶ合理性があると大学の先生にデータを見せてもらったから。

 

 

太陽光パネルをたくさん載せて、そのエネルギーだけで電気自動車を走らせようという実験をしている人もいる。どうせなら未来に1票を投じたい。

 

 

②ランニングコストが安い

電気自動車は燃費ではなく「電費」という。これにはいろんな計算があってややこしいが、(たとえば自宅充電する場合、夜に使うと安いプランを使っているかどうかなど)今は燃費のいいハイブリッド車などとくらべて計算しても、少し安いという感じ。(ぼくは電気代が家賃に含まれているのでタダ)

 

街中にある急速充電器を使うときにも、いろいろなプランがある。日産には月額2000円で急速充電器が使い放題というプランがあるので、旅するときにはとても魅力的だ。

 

 

ガソリン車に比べて部品が少ないので車検も安いそう。ダイソンなど他業種が電気自動車に参入しやすいのもこの辺の理由がある。オイル交換もない。

 

③静か

 

ぼくの車の場合でも速度が15km以内はスピーカーからあえて音が出るようになっている。そうしないと、まわりの人が気づかないほど静かなのだ。

 

 

ペラペラの軽トラなので、静かなのはとってもありがたく、快適だ。音楽を聞く人にもメリットがあるそう。もちろん「吠えろ、俺のトリプルローター!!」「官能的なエキゾーストノートが……」という人には物足りないのかも。

 

 

④加速がすごい

実はいちばんのメリットはこれかもしれない。ぼくの車も60kmぐらいまでの加速がすごい。交差点で一緒にスタートした車も「バ、バカな…あんな軽トラにぶっちぎられるなんて」という感じになっていると思う。ちなみに最高速度はどんなに踏んでも警察のお世話にはならないくらい。

 

モーターの特性上、回転しはじめから最大トルクが出る。ぼくの車もトルクで言えばガソリン車の排気量2L(198N・m)に相当するので、加速がすごいのだ。

 

リーフがかつてのスポーツカー180SXとゼロヨン対決するという動画もある。

 

電気自動車のデメリット

 

高速道路に充電器が、少ないっ!!

 

これに尽きる。

まず一般道路では現状問題がない。ガソリンスタンドの数は3万。普通充電は1万5000。急速充電は7000。上記のシェアから言っても数は少なくない。ディーラーにはあるし、ファミリーマートで充電器があるところも増えてきた。充電待ちがあっても、別のところにすぐいけるような距離に大抵はある。

 

 

充電器の場所はアプリで検索しているのだが、たとえば京都周辺で見てもこれだけある。

 

充電計画を立てて、道の駅に寄ったり、ディーラーで世間話をしたりするのも楽しい。

 

 

しかし、高速道路に関しては、何か悪意があるのではと思うほど少ない。
SAによっては、ないところもある。上りにはあるが、下りにはないということもある。大きなPAでも充電器が一台だけあって、次の人が待つスペースすらないこともある。

 

確かに今は前述のように電気自動車の数自体が少ないので、長い距離を走っても充電待ちに遭遇することはほとんどなかった。しかし、充電器が一台しかなければいざ待つとなれば最大で30分待つことになるし、自分の充電と合わせると1時間……。

 

EVは充電時間に休むことになるので、普通の運転よりも疲れにくいと聞いたことがある。ぼくも時間だけはあるし、のんびり行きましょ、ということで電気自動車を選んだが少々休みすぎだ……。

 

航続距離の長い、新しいリーフなら現状でほぼ困ることはないのではないだろうか? しかしこれが人気でたくさん売れると……と今後の高速道路事情が不安になってくる。

 

Q&A

 

充電設備はどうしてるの?

 

200Vの専用設備を自宅に作る場合も、街の電気屋さんに安く頼めば、機材合わせて工事は数万円で済むとのこと。ぼくは普通の100Vで充電できるケーブルを使っていて、ゼロから満充電まで14時間かかるが、全然困っていない。
ガソリンスタンドが減ってきている離島なんかでは、家で充電できるというのはメリットだと思う。

 

電池が劣化するんでしょ?

先代のリーフでは徐々に容量が減っていくそうだし、徐々に自分の車が劣化していくというのは、残念な点だ。電池の交換にも結構なお金がかかるらしい。ぼくの車に搭載されているのは東芝のSCiBという電池で、ほぼ劣化しない電池と言われている。容量は少ないけど。実際に乗っていても劣化は感じない。

 

現状の結論

 

現状では、家に充電設備が作れるなら旧型のリーフでも、どの電気自動車でも、実用的に車を考えるひとにとっては最高のセカンドカーだと思う。ミニキャブミーブトラックも近所を走る軽トラとしては、トルクもあるし最高だと思うんだけど、なんと1000台しか売れなかった。

 

家族で遠出をする可能性も含めてファーストカーなら、新型リーフはとても魅力的に思える。売れすぎてもいいように、ぜひ高速道路上の充電器の充実を!!

 

 

 

「軽トラの本」
余計な要素が削ぎ落とされたミニマリズムとしての軽トラとは?

 

「軽トラックパーフェクトマニュアル」

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この記事を書いた人

作家/編集者。1979年生まれ。香川県出身。『BOMB!』、『STUDIO VOICE』、写真集&書籍編集者を経てフリーに。ミニマリスト本『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』は25カ国語に翻訳。習慣本『ぼくたちは習慣で、できている。』(ワニブックス刊)は12ヶ国語へ翻訳。