そもそも片付け、整理整頓に惹かれたのは、家が狭いからだ。 持ち家なのに、40平米しかない。
先日、知り合いに広さを聞かれたので答えたが、「ええっ、それは狭いですね」と本気で驚かれた。
別の人と引っ越しの話をすると、今が70平米だから、次に引っ越すところも70平米以上は譲れない。と言う。 なぜ40平米なのかというと、当然理由はある。 まず、家を購入するにあたって、品川港南地区の新築マンションを契約した。
その部屋は64平米だから、それでも家族暮らし(当時は二人)には狭いというのが一般的だろう。
間取りが選べるのだが、おそらく他の人が選ばない1LDKにした。 3つのプランのうち、他は部屋数が多い(子供用)のでリビングは10畳。 私が選んだプランでは、リビングが16畳になった。
リビングが広ければ、家は広いのだ。気持ちがいいのだ。
契約から2年後に完成・入居で、私はその日が来るのを心待ちにしていた。 すると、1年経ったある日、妻が「キャンセルしたい」と言い出した。 当時代官山に住んでいたので、できればその周辺か港区がいいと思っていた私は必死に説得したが、どうしてもあの場所の雰囲気が好きになれないという。
彼女は以前住んでいた吉祥寺の中道通りが好きなので、あの賑やかな感じが忘れられなかったのだ。 でも、賃貸ならいいが持ち家であの場所ではとても買えない…。
今キャンセルするなら、次は中古しか買えないということ条件に、私は販売業者との交渉に入った。 手付け金を戻してもらうためだ。 交渉の末、半額を返金してもらい、次のマンション探しが始まった。
そして、70平米程度のマンションも含め、いろいろ巡った挙げ句、吉祥寺中道通りの今の家を見つけた。 場所は望み通り、駅近くで賑やかで、商店街も素敵だ。 角部屋東南で日当たり抜群。ベランダが気持ちいい。 部屋はボロボロだが、スケルトンにしてリフォームをしたかったので問題ない。
ただし、大きさが40平米だった。
それでも、直感を頼りに購入を決めた。部屋をぶちぬけば、リビングは15畳になる。
ある間取りが犯罪に繋がる?
どうしてこの小さい家を購入したのかというと、以前に「小さい家」「間取り」の特集を雑誌でしたことがあり、自分なりの考え方があったからだ。
それぞれ、「イギリス人は小さい家で満足な暮らしをしている」というものと、「間取りが犯罪に繋がる」というもの。
要約すると、小さい家だと家族は常に近くにいて、リビングに集まりやすい。 喧嘩をしても逃げる場所がなく、仲直りが互いにストレスを減らす方法だ。
そういった特集を編集して、自分なりに「子供は勉強部屋で勉強をするのではなく、リビングですべきだ」という考え方になった。
間取りの特集は、たとえば二階建ての一軒家の場合、玄関に入ってリビングを通らずに2階の子供部屋に行ける家が問題になっていた。
綾瀬監禁事件のAの家はまったくその通りで、宮崎勤の場合は離れだった。
反抗期になると、好き勝手をしだす子供。 家に帰ってきても親と顔を合わせず、親も子供が何をやっているのかわからない。
アメリカのように、玄関の次はリビングで、そこから各部屋があるようなタイプが理想的だと感じた。 他にも、NZや北欧の子供たちは自立をしたがり、成人をすればすぐに家を出て行く。 親も子供たちの自立心を大事にする。
となると、子供が成人しようとしているときに、家を改築して立派な子供部屋を作ったりはしない。 家はあくまで親の家なのだ。
子供が出て行ったときに、ぽかんと心の穴のようになった部屋はないか。 そんなことを考えた。 子供はおそらく生んで一人。 40平米で問題ない。
子供部屋は必要なのか?
子供ができると、「引っ越ししないとね」と皆が心配する。 私は「しないよ」と言い続けている。 「子供ができると、1D(K)の小さい家だと暮らせない」 という考え方は、どうしてそんなに一般的なのか。「40平米でも暮らしていけるよ」とポジティブに言ってくる人はまずいない。
「子供部屋を与える」という考え方も皆強烈に持っている。 某リフォーム番組で必ず出てくる、小さな子供のための立派な部屋や勉強机。
まるで「親の当然の努め」のようなイメージを全国に配っているが、私はそうは思わない。
ソフトバンクの孫正義は小学生時代、非常に貧しい家に育ったが、大雨が降ると浸水し、豚の糞尿が流れてきたという。「勉強するな」的環境で、彼は勉強を続け、いい成績を取り続けた。 そんな環境にしようと言うわけではないが、過剰な準備は必要ないと思いたい。
さて将来、こんなに小さい家で良いと思っていても、田無あたりの広い家に引っ越しているかもしれない。 妻と娘の説得に負けてだ。 だけどやっぱり悲しいと思う。 こんなに楽しい場所で、気持ちよく暮らしている今を手放すとは…。
とりあえず、狭い家で家族3人が暮らすとどうなるか、自分でも興味深く見守っている。