前に住んでいた吉祥寺の家には広いベランダがあり、テーブルと椅子があったので夕方はそこで涼みながらお酒を愉しめた。
でも、今住んでいる一戸建てには、そういったベランダはない。
夕方、陽が暮れかけて、のんびりと風に吹かれてワインとかビールとか、飲みたい。
今の家の前にはコンクリ仕立ての駐車場があり、それなりにスペースもある。
でも、なかなか上手くいかない。
理由はいろいろあって、まず駐車場なので柵や仕切りがないこと。近所から丸見えであること。
立ちのみでもいいのだけれど、グラスを休めるカウンターがないこと。
それで、壁に小さなカウンターが付いていればいいのに。
と贅沢なことをずっと考えていた。
その話を友人のハチくんにすると、彼は彼の家の屋上用にささっと数日で作ってしまった。
飲み物用カウンター。
フェンスにひっかけるタイプで、作るのは簡単らしい。
そして、そこで飲むとすごく楽しいという。
椅子を出せば、低い位置にカウンターを移動して使うこともできる。
いいなあと思っているうちに、外呑みに最高のシーズンがやってきた。
まず、夕方5時付近に夕暮れが来る。
そして、風がとにかく気持ちいい。
冬、つまり2021年の1月から考えると、こんなに外呑みに最適な季候はなかった。
寒さが和らぐ4月、5月、一戸建てのコンクリあたりには、赤いダニのようなものが発生する。
これは梅雨前にしっかり消えてなくなるのだけども、このダニたちがいる限り、外呑みする気にはならない。
そして、今年の梅雨はよくわからなかった。いつ来るのかわからないまま、曇り空が続いたり、ちょっとだけ雨が降ったり、そうこうしているうちに夏が来た。
もう熱くて外には出られない。
だから、この9月後半から10月にかけての涼しさは、本当に待ちに待った涼しさ。
夕方にバイクに乗っても腕に当たる風がもう気持ちいい。
外呑みには、秋しかないのだ。外で何かすること。外でまったりすること。
それが出来ていない。
あんなに行っていたキャンプ。コロナで行けず、今は行けるだろうけど、混んでるのを予想して行きたくない。
近所のBBQ場も閉鎖。
日中は家の中に閉じこもって仕事。外にはあまり出ない。
家のまわりにも出ない。
どうしてかはわからない。
どうして外に出て一息つかないのか。
昔、たばこを吸っていたときは、ベランダや外に出て、一息ついていたはず。
近所の人たちは行動はだいたい世代別で同じで、年配の人はしょちゅう外に出て井戸端会議をしている。
一方、同年代の人たちはまったく出てこない。
たぶん、たばこ吸う人がいたら、外に出て吸うのかもしれない。でも、近所にはいない。
書きながら、せめてコーヒーカップでも持って外に出て一服(たばこではない)しようと思ったのだけど、小雨が降っている…。
窓際で外を眺めてながらコーヒー、みたいのも、外を監視しているみたいなので、やる人はいない。
カーテンを閉めてるから、少し開けて外を覗くのが少しクリーピーなのだ。
もう面倒くさいので、カーテンロールを全開にした。
前にもそんなことしたな…と思いつつ、開けると、やはり違いがある。
椅子に座りながら、外を堂々と眺められる。
窓の近くにも立てる。
外の人が家の中を覗けるのと引き換えに、堂々と外を眺められる。
そのうちまたカーテンロールを閉じる日々に戻るだろう。
ただ、今はとりあえず、椅子に座りながらクルマに当たる雨粒を眺めてるだけで、一服できてる。
※一服(ひとやすみ)の英語はチルアウト(chill out)もしくはキッキッ(kick it)