いちばん必要なときに手放す
佐々木典士

1月1日より断酒し、50日が経過しました。だいたい5日で飲みたいという身体からの欲求がなくなり、20日ぐらいで飲んでいる人を見ても「いいな」と思わなくなりました。今では「飲む」という選択肢自体が吹き飛んだ感じです。断酒の過程はなかなか変化があったので、あらためてどこかでまとめたいと思います。
断酒する際にも使ったのは「一番必要なときに手放す」という方法でした。

以前にもこんなことがありました。ぼくは髪の毛にワックスをつけていたのですが、いつからか髪の毛に何もつけずに過ごしたいと思うようになりました。そこであえて、素敵な女性と会う約束がある日をワックスをつけるのを辞める日に選んだのです。最も髪の毛をしっかりセットしたいと思うシチュエーション(笑)。まあ人からすれば、つけなくてもつけてもあんまり変わらないのですが(お前の顔を気にしているのは、お前だけだよ)。その日を境にすっぱりとワックスを使わなくなりました。

なぜかと言えば
「一番必要なあの日をそれなしで過ごせたのだから、他の日もなくて大丈夫だ」
だと思えたからです。

お酒でも同様のことを考えました。ここまでにはそれなりの試練?もありました。
・正月の家族の集まりで
・親戚の結婚式で
・東京屈指の飲み屋街 ゴールデン街や恵比寿横丁で
・肉体労働後の打ち上げ
・ゲストハウスの共有スペースで
・女性と2人きりのときに

こんな、お酒が最も必要になりそうな場面をそれなしで過ごせたのだから(特に最後ね!)めったなことではお酒に手が伸びなくなったのです。
普段から手放そうかどうしようかと思っているものがある場合は、思い切ってそれが一番必要そうな時に手放してみる、というのはひとつの手です。

・デートの前に服を手放す
・親戚が来る前に来客用布団を手放す
・ホームパーティーの前に食器を手放す
・海外旅行前にカメラを手放す

結果がどうなるかはわかりません。誰かが気分を害するかもしれない。案外なんとかなるかもしれない。ともかく手放してしまったのだから、それなしでなんとかやり過ごすしかありません。「それなしでもなんとかなった」という経験は、他のことにも波及していきます。どうしてもなんともならないようなら、勉強代と考えてもう一度手に入れればいいのです。
お酒はメリット、デメリットがあります。モノを持つことにも、持たないことにもメリット、デメリットがあります。他の人の意見は参考になりません。大事なのは、どちらが「自分にとって」より大きいのか考え、自分で選ぶことです。

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この記事を書いた人

作家/編集者。1979年生まれ。香川県出身。『BOMB!』、『STUDIO VOICE』、写真集&書籍編集者を経てフリーに。ミニマリスト本『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』は25カ国語に翻訳。習慣本『ぼくたちは習慣で、できている。』(ワニブックス刊)は12ヶ国語へ翻訳。