ハイテク・ミニマリズム 沼畑直樹

長い間、人々は家の中に何があるかで、自分を表現していた。

人を招き、本棚を見せ、持っているレコードやCD、映画などのコンテンツをさりげなく配置した。

1人暮らしをはじめたばかりの若者のワンルームでさえそうだった。

そこに本やCDがないということは、本や音楽に造詣がないことに直結していた。

でも今は、そこに本がなくても、その人の右手で掴まれたスレートの中にデジタル化して存在している。

部屋の中を見ただけでは、その人の興味や趣味、読んできた本や観てきた映画のヒストリーはもうわからないし、判断してはいけない。

本来なら、本で狭い部屋が埋め尽くされるような本好きの人でも、すっきりと片付いた部屋で本を読めるのが今だ。

すべてはテクノロジーのおかげ。ハイテクによって完成する、『ハイテク・ミニマリズム(Hi-tech minimalism)』だ。

エレクトリック・エイジが享受するハイテク・ミニマリズムは、部屋の中だけではない。車でも同じことが起こっている。EVカーの新ブランド、ポールスターが先日発表したコンセプトには、ハイテク・ミニマリズムのアイディアがふんだんに盛り込まれている。

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この記事を書いた人

『最小限主義。』、写真集『ジヴェリ』『パールロード』他(Rem York Maash Haas名義)、旅ガイド『スロウリィクロアチア』他

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