痩せている人はたいてい、食べるのがゆっくりですよね。
食事をよく噛んで、ゆっくり食べるのがぼくの長年の課題でした。
・ひと口30回噛む
・ひと口ごとに箸を置く
などいろいろな方法はありますが、すぐに実践を忘れてしまい習慣にできるまでに至りませんでした。
コツというのはできるだけ意識するポイントが少ないことが大事だと思っています。
たとえばぼくが姿勢について気をつけているのは「骨盤を立てる」ということだけです。頭や首や、背中や肩、気をつけるポイントがたくさんありすぎると続けることが難しくなるからです。
ゆっくり食べることのコツも同じ。
松尾伊津香さんの「一生太らない魔法の食欲鎮静術」という本で紹介されていた方法は実にシンプルです。
それは食べ物を「舌先で味わう」ということ。これは結構効きました。
「味わうって、よく噛むってことですか?」冒頭の質問をされたら、私はこう答えます。「いいえ、違います。本当に味わおうと思ったら、よく噛もうと意識するのではなく、まずは舌先に食べ物をあてることです」
よく噛もうと意識すると、なぜか失敗してしまう。意識するのは歯ではなく、舌。
噛もうとするのではなく、単に舌先に食べ物をあてることを心がける。
なぜ舌先で味わうことが、ゆっくり食べることになるのか?
それは舌の動きが、飲み込むこととつながっているから。
①唾を口の中に溜めて、舌の様子を観察してからごっくんと飲み込む。(このとき、その舌の動きを覚えておく)
②今度は舌先を前歯で噛む。舌先が動かないように固定し、そのまま唾を飲み込む。
①と②を比べてみると、②のほうが唾を飲み込みにくく感じませんでしたか? そうなのです。何かを飲み込むとき、私たちの舌は勝手に奥に引っ込むようにできています。
つまり舌先で食べることだけ意識していると、すぐに飲み込むのが難しくなり必然的によく噛むようになるということ。
舌先で食べることを続けると、また自然と奥歯の方に食べ物が戻ってきてしまいます。これも長年の習慣で染み付いた食べ方のクセによるものです。それをまた舌先に戻します。3回くらいこれを繰り返し、食べ物の形がなくなってきたところで、舌の奥(付け根)に食べ物を回して飲み込みます。それまでは絶対に舌の奥に食べ物を置かないように気をつけてください。
敏感な舌先(松尾さんによると舌先3分の2は味覚に特化した神経なのだとか)で食べ物を味わいながら形を把握し、なくなるまで噛む。
ぼくが思ったメリットは、舌先で味わおうとすると必然的に舌に圧迫されて口腔内のスペースが小さくなるということ。
普通の舌の状態で食べていると、上記に比べて口腔内のスペースが大きくなります。
口腔内スペースが小さくなるので、箸で取るひと口も小さくなります。多すぎると、舌先から溢れて奥にいっちゃうのがわかるからです。
ランニングフォームのコツなどもいろいろあるのですが「速く走れるようになると自然に身についている」というものがあります。コツが先にあるのではなく、後からやってくる。
・ひと口30回噛む
・ひと口ごとに箸を置く
というのも後からやってきました。食べ物の形がなくなるまで噛もうとすると30回ぐらい噛んでいるし、箸を置こうとするのではなく、なんだか手持ち無沙汰になって箸をつい置いてしまう。
この食べ方を実践してみると、なかなか食事が減っていかないことに驚きます。今までなら一食分食べた感じがするところで、まだ半分以上残っていたり。
そうして目指すのは、満足感。松尾さんは、満腹感と満足感を分けて考えます。
●満腹感
胃が量で満たされた感覚。お腹がいっぱいになったという感覚
●満足感
精神的に満たされた感覚。心落ち着いたさま。お腹がいっぱいではないけれども「もういいや」と思える感覚
満足感があるから、適切な量で食事を終えられるということですね。
ぼくがいろいろ実践してみた中では即効性があり、かつ続けやすいと思いました。
松尾 伊津香「一生太らない魔法の食欲鎮静術」
舌先で味わうというアイデアはすばらしいと思います。個人的にはこの主要な部分の論旨や、エビデンスをもっと緻密に書き込んでほしい。20分ぐらいで読めたので、こういう本もあるんだな~と思いました。