肉と欲
佐々木典士

男性にとって、性欲というのは身を焦がす炎だと思う。ぼくもそうだったけど、10代、20代の頃は手に負えない厄介なもの、そんなにそのことばっかり考えたくないよと思ってしまうコントロール不能なものではないだろうか。

30代も後半になり、それがだいぶ落ち着いてきてちょうどいいと感じた。それどころか最近はちょっと落ち着きすぎなんじゃなんじゃないかという感じだった。近所に若い女性がほとんどいないことも関係しているかもしれない。落ち着くだけならいいのだが、性欲と誰かを好きという気持ちは切り離せないもののようで、女性に対する気持ちも薄くなっていくのを感じた。

 

今は締め切り前で、やる気を出さんといかんということで夕食に赤身の肉を食べるようにしてみた。すると笑ってしまうほどそれが戻ってきた。締め切り前のストレスもあるので、これに対する生存本能ということも考えられる。

 

ぼくは、食事の内容が毎日あまり変わらないので、ちょっと食事を変えてみるとその変化の大きさを感じることが多い。すっかり穏やかになったと思っていたのに、イライラや怒りっぽくなっている気がするのは、ストレスなのか肉の作用か。

 

以前、大きな会社の秘書の女性から、おじさんになっても貪欲な人はとにかく肉を食べる、という話を聞いたことがある。仕事の都合上、会食などに行くことが多い。そういう場面では重役になるような出世欲も性欲もギラギラしている人は肉をよく食べるんだと教えてくれた。

 

これは、ある程度当たっているのではないかと思う。煩悩をおさえるべく修行をしている人が、精進料理を食べるのは伊達ではないという気がする。しかし、肉を食べて仕事へのやる気が増すだけならいいが、性欲が増し女性への興味も増し、さらにそれを満たすために金銭欲が増していくとするとただのマッチポンプではないかと思ったりする。

 

確たるものはきちんと調べなければわからないが、考えてみる価値のあるテーマだと感じる。そういえば、一日一食で性欲が回復すると言っている人もいたなぁ。いろいろ意見は分かれそうだ。詳しい人がいたら教えてくださいね。

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この記事を書いた人

作家/編集者。1979年生まれ。香川県出身。『BOMB!』、『STUDIO VOICE』、写真集&書籍編集者を経てフリーに。ミニマリスト本『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』は25カ国語に翻訳。習慣本『ぼくたちは習慣で、できている。』(ワニブックス刊)は12ヶ国語へ翻訳。