たとえつぶやきがバズっても 佐々木典士

カシューナッツ&カシューフルーツについてのつぶやきがバズった。

これはフィリピンの先生から授業中に雑談で教えてもらった。フィリピン人なら、カシューフルーツはみんな知っているそうだ。

自分の今までのテーマだった、ミニマリズムでも習慣でもないつぶやき。それがありえないスピードで、リツイートやいいねの数が伸びていくのを見るのは楽しかった。ブラジルでもポピュラーなこと、実は渋いがジュースにすると美味しいこと。リプライでいろいろな人が知識をシェアしてくれるのもよかった。日本のテレビのニュースでも放送され、遠く離れたフィリピンの、たわいもない話がそんなことになるとはという感じで面白かった。

5万のいいね、そして2万以上リツイートされたので、400万アカウントのタイムラインに登場したようだ。はっきり言って嬉しい出来事だ。

しかし。400万の人が見たのに、5万件しかいいねがついていないとも言える。ざっと80人に1人の割合。すでにたくさんの人にいいねがついているものにあえて自分がいいねを押さなくてもいいということもあるかもしれない。

考えてみると、この割合はいつもの自分のつぶやきと同じぐらいの割合だ。現在1万人のフォロワーの方がいて、いいねを押してくれるのはだいたい100人ぐらい。100人に1人。

つまり、どれだけたくさんの人が見てくれたとしても、自分のやったことを評価してくれる人の割合はいつもとたいして変わらない。

なんだか見覚えがある割合だと思った。本を出して、多少名前が世の中に出てから好意を持ってくれる女性が増えたと感じたことがあった。しかし、その割合は以前から変わってないと感じる。好意を持ってくれるのはいつだって100人に1人。増えた気がするのは、ただ自分を知ってくれている母数が増えただけだ。

有名になりたいと思っている人は多いと思うが、何をしたって自分のことを評価してくれる人の割合は対して変わらないのかもしれない。多くの人が自分のことを知っている存在になったとしても、その母体からランダムに100人に抜き出して、評価してくれる人の割合はいつも一緒。おそらく、批判する人の割合も同じだろう。

何をしてもいつも一定の割合なら、評価や批判は脇においといて、やりたいことをやったほうがいいのではないだろうか。

そして、昨日。テレビでこのつぶやきが紹介された。本の宣伝になるかもという淡い期待を頂いて使用の許可をしたのだが「フィリピンに留学中の男性」のつぶやきとして紹介されただけだった。家族にも「テレビで紹介されるよ〜」と伝えていたので、決まりが悪かった。

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この記事を書いた人

作家/編集者。1979年生まれ。香川県出身。『BOMB!』、『STUDIO VOICE』、写真集&書籍編集者を経てフリーに。ミニマリスト本『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』は25カ国語に翻訳。習慣本『ぼくたちは習慣で、できている。』(ワニブックス刊)は12ヶ国語へ翻訳。