紙が好き。
佐々木典士

ミニマリストの本を出した人間ですが、モノが本当に好きです。だから紙も大好きです。自分が出す本でも、このモノ好きぶりが遺憾なく発揮されています。

電子書籍のメリットはたくさんあります。ぼくが持っているKindle Oasisは防水で、お風呂で読むのが最高だし、旅行も身軽になり最高です。

そんな便利なものがある時代に、紙の本を出すのなら、モノとしての質感にこだわったものにしなければ意味がない、そんな風に考えています。ただの紙フェチという話もあります。

日本の出版で使われている紙は本当にすごいんです。紙の見本というものがありまして、本当に何千種類あるんだろうかという紙の中から使う用紙を決定していきます。

デザイナーさんに紙の候補を選定してもらうのですが、その紙が自分の知らない銘柄だったりすると、とってもワクワクして紙の見本をめくります。編集の仕事のなかでも大好きな瞬間です。

今回の「ぼくたちは習慣で、できている。」のカバーは、

●パターンズF コットンホワイト

まるでキャンバスのような質感を、本を読んでいる最中も触れてお楽しみ頂けるのではないかと。

見返しは

●D’CRAFT(ドット)

ドットがエンボス加工されたクラフト紙。

扉のタイトルは白インクで印刷。

 

表紙は

●ファーストヴィンテージ(ベージュ)

繊維の表情が楽しめ、何よりとっても「本が開きやすい」ところがお気に入り。

「ぼくモノ」とは色違いでお揃いにしておりますの。

本文用紙は

●オペラクリームウルトラ

 本文の紙には大きく分けて白っぽいのとクリームっぽいのがありまして、ぼくが好きなのはクリーム系。目に優しい気がするし、やっぱり「本」という感じがするんですよね。

 

さらにそれぞれに紙の厚さもいろいろあったり、本当にいろいろあーだこーだと考えながら、本作りが進んでいきます。本作りは内容だけでなく、モノ作りの側面もあるんですよねー。

 

さて、おこだわりが強いのはいいのですが、難点は今回使用した紙は「とっても高い」こと。出版業界も厳しい折、コスト削減の対象になりがちなのが用紙です。でも個人的には、紙の本買うならモノとしての魅力があるものが嬉しい。五感を刺激されたほうが、本の内容も記憶に残るはず。印税も充分に頂いておりますが、今回はそれを少し下げてこういった紙を使用させて頂くことと相成りました。

 

帯の文章は、Twitterでアンケート取らせて頂いたものとは変わりました、すみません。営業さんと編集者の意見を反映したものに。

ちなみにカバーの文字は、ただの印刷ではなく黒の「箔押し」です。なので、光の角度によってキラッと光ります。

 

電子書籍派のみなさんも、書店で手に取ってこんなマニアックなこだわりを、ほうほうと思って頂けると嬉しいですね。

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この記事を書いた人

作家/編集者。1979年生まれ。香川県出身。『BOMB!』、『STUDIO VOICE』、写真集&書籍編集者を経てフリーに。ミニマリスト本『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』は25カ国語に翻訳。習慣本『ぼくたちは習慣で、できている。』(ワニブックス刊)は12ヶ国語へ翻訳。

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