テーマがあれば誰にでも話を聞ける
佐々木典士

ミニマリズムについてのお話をするとき、来てくれた方に話題を振るのは簡単だ。

「何か手放したいモノがあるんですか?」

たいていは、なかなか手放せないモノが残っていたり、自分のモノは済んだけれども家族のモノをどうにかしたい、という話になる。

 

モノは誰でも持っている。そして手放せない、片付けられない、という話は大抵の人が抱えている問題なので初対面の人同士でワークショップをするときでも多いに盛り上がる。

 

今は習慣がテーマになっているので、人に会うと

「どんなことを習慣にしていますか?」

「どんなことを習慣にしたいですか?」

と質問するのが定番になっている。

 

習慣も誰でも何かしら実践したり、目標にしているものがある。だから誰にでも質問ができる。習慣を維持するためのコツのようなものは誰でも持っているし、失敗しているなら失敗しているで、すべてが貴重なサンプルになる。

 

新聞やニュースを見るときにも、話題の中心でなくてもテーマに関する部分を抽出してしまう。たとえば、新聞に載っていたカズのインタビュー。カズは51歳で現役だが、引退をよぎったのは30歳の頃からだという。しかし「あと2年したらやめよう」と思っているうちに今の年になったそうだ。習慣を実践するなかで「目の前の目標だけに集中する」必要性を考えていたので、こういう記事も目に飛び込んでくるし忘れない。

 

テーマという磁石を持っていると、膨大な情報から必要なものを選別して集めることができる。

 

サブカル雑誌にいた頃、

「君はロッド・スチュワートについてどう思う?」

と突然質問されたことが忘れられない。こういう質問もとても刺激的で素敵だが、相手の興味を深く知っていないのであれば、できるだけテーマは一般的なものがいいだろう。

 

「節約で気をつけていることありますか?」

「仕事を早く終えるために心がけていることはありますか?」

「遠距離恋愛したことありますか?」

 

というような質問なら大抵の人がなんらかの考えや経験則を持っているのではないだろうか。気になるテーマを持っていれば、目の前のすべての人に話を聞くことができるし、誰もが師匠にもなる。

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この記事を書いた人

作家/編集者。1979年生まれ。香川県出身。『BOMB!』、『STUDIO VOICE』、写真集&書籍編集者を経てフリーに。ミニマリスト本『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』は25カ国語に翻訳。習慣本『ぼくたちは習慣で、できている。』(ワニブックス刊)は12ヶ国語へ翻訳。