君の名前を変えたい。
佐々木典士

習慣を身につけようとするときに、その習慣の名前を魅力的なものに変える、というのはひとつのコツだ。

たとえば

「ピアノを練習する」ではなく「ピアノを弾く」

「英語を勉強する」ではなく「英語を話す」

 

たとえやり始めたばかりで全然できていなくても、「弾く」「話す」と言えば、間違いではないし、すでに何事かに関わっているようで初期のモチベーションがあがる。

 

「練習」や「勉強」にはそれ自体に「辛いものを我慢する」というニュアンスがあるので、その無意識の影響を避け、楽しく取り組む。

 

やめたい習慣にも効果的だ。

「お酒をやめる」といえば楽しいのに、我慢するものという印象が強い。

「お酒はもう飲まなくてもいい」といえば、デメリットで困っていた方の自分に目がいく。

 

イチローは一球一球打つ課題を課していたという。

それと同じようにすでに習慣になっているものに、そのときに課題にしたいものを名付けるのも効果的かもしれない。

「ヨガをする」→「身体を意識する」

「瞑想する」→「自分の思考を客観的に見つめる」

 

モノにおいても

「捨てる」→「手放す」

という言葉を使うようにしている。

 

「捨てる」といえば、誰でも「もったいない」という言葉が連想される。そうして行為のハードルがあがる。

「手放す」という言葉で連想されるのは「必要な人に届ける」というニュアンス。

ただ資源を無駄にしてしまうのではなく、次に必要としている人に手渡すのだ。

 

効果はちょっとしたものだが、やりたいと思っている行動への距離を、言葉を変えることによって縮めることができる。

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この記事を書いた人

作家/編集者。1979年生まれ。香川県出身。『BOMB!』、『STUDIO VOICE』、写真集&書籍編集者を経てフリーに。ミニマリスト本『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』は25カ国語に翻訳。習慣本『ぼくたちは習慣で、できている。』(ワニブックス刊)は12ヶ国語へ翻訳。