成長はモチベーションにならない
佐々木典士

成長の実感はたまにしかやってこないので、それを継続のモチベーションにするのは難しいと思う。

 

たとえば、ヨガ。「体が柔らかくなった!」と実感できるのはまれで、それが感じられたとしても「今日はいつもより足首がまわるかな」など非常~に地味にやってくる。そして続けていないと体は固くなり、無慈悲さも感じたりする。

英語もそう。ある日「聞けるかも」「なんかわかるかも」というときがやってきたりするが、成長は階段上になっていて、大抵は長い長い踊り場にいるだけ。

 

 

成長は右肩上がりの直線ではなく、下がって上がっての繰り返しで、不細工なガタガタの線を描く。成長をモチベーションにしていると、そんな風に後退したときにやめたくなってしまう。

 

 

継続するためには、モチベーションは成長ではなく、行為自体に見つけ出すことが必要だ。そしてそれでも今日も続けられた、という自己肯定感を報酬とすることだ。

 

 

山頂に登り自分の出発点を確かめると「こんなに登ってきたんだな」と思えたりするが、それとは違って、最初の自分の状態なんて忘れるほど時間がかかる。だが忘れているだけで、確かに今日も登っている。

 

 

成長はモチベーションにならない。それは雲行きの怪しい会社のボーナスのようなもの。

もらえたらラッキーぐらいに思っておくのがいい。

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この記事を書いた人

作家/編集者。1979年生まれ。香川県出身。『BOMB!』、『STUDIO VOICE』、写真集&書籍編集者を経てフリーに。ミニマリスト本『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』は25カ国語に翻訳。習慣本『ぼくたちは習慣で、できている。』(ワニブックス刊)は12ヶ国語へ翻訳。