2018年8月30日
引っ越しをして2週間ほど。妻と子どもが数日間、実家に帰ったので、ひとりで過ごしている。
ちょうど仕事が忙しいので、朝5時ごろに目が覚めて、新しくできた仕事部屋に籠もっている。
小さな5畳ほどの部屋の窓際に机を置いて、ノートPCに向かう。
仕事道具も自分の服も、すべて後ろの収納に入っている。
書類等はデジタル化し、写真の仕事のせいで必要な外付けHDが2台、今までに作った本があり、プリンタが1台ある。
前の家では場所が多少ばらついていたけども、今回1カ所に集約されたので、けっこうたくさんあるなと感じている。
1階のリビングはテーブルと椅子を置いたのみ。友人からすると、前より何もない感じがするという。
自分としては、カウンターキッチンにいろいろと出てきてしまったものがあり、何とかしたい。
出てきてしまったものとは、新しい市のゴミの捨て方のパンフレット。
まだ妻も私も慣れていないので、これを出しっ放しにして毎日向き合っているのだ。
お菓子をいれる場所もなくなった。前の家よりもキッチンの収納が減ったせいで、あふれているのだ。
ただし、焦らない。
ゆっくり、その仕舞い方を模索していく。
前の家は小さかったけれども、今思うと収納スペースは結構あった。
押し入れの奥行きはやっぱり凄い。新しい家はクローゼットなので、奥行きが全然ない。
なんとかすべてのモノは入ったけれども、もっとスカスカにしたかった。
2階に部屋は3つあり、ひとつがシアタールーム。妻は将来的にソファを置きたいと考えている。
そこにはロフトがあり、子ども部屋となった。
妻の夢である、子ども部屋らしい子ども部屋をついにという感じで、私は黙ってその成り行きを見つめている。
娘もはじめての部屋だから、どうしていいのかわからないだろうけど、とにかく黙っていよう。
もうひとつは寝室で、ベッドが置いてあるのみ。
そして仕事部屋だが、将来は娘の部屋になる。今は小さな仕事用の机のみ。
ここが、非常に集中力の高まる部屋。窓は西向きなので、夕陽がとにかくきれいに見える。
この町は、市のなかでも外れにあり、災害マップなどで掲載されないほどだ。
見捨てられている。
外からの人もほとんど来ないような立地になっていて、それが気に入った点のひとつ。
夕陽を見るために最初に憧れたのは近所の大沢というエリアだが、そこも外界から遮断されているような場所で、外の人はほとんど入ってこない。
畑も多く、とても東京の吉祥寺近く(おおざっぱに言うと)とは思えない。
私が選んだ町も、そこにどこか似ている。
引っ越しの少し前、真夏の猛烈な暑さの日に、佐々木さんと待ち合わせして古いオープンカーに乗った。
玉川上水という緑の木陰を水がちょろちょろ流れる川があり、それに沿って古いマツダのロードスターを走らせる。
暑くて幌を開けられないのだが、調布にある飛行場のあたりで幌を全開にした。
木陰の下の長い一本道を見つけたからだ。
私の今の町から車ですぐのところにその一本道はある。
長く長く、木陰を作っている。
昨日、夕方にひとり車を出して、近くの別の一本道を初めて走ってみた。
実はこの周辺には、軽いドライブに最適の道がいくつもあったのだ。
その日走った道も非常に美しく、古いロードスターで走った道に負けていない。
吉祥寺のあたりにはまったくない、人気のない長い一本道。
情緒が感じられる、一本道。
仕事部屋の椅子から右上に目をやると、広い空が見える。
最近はずっと曇りだったけれども、今少しだけ青空が顔を出した。
吉祥寺時代と違い、車は家の前にある。
だから少しの暇があると、すぐに車を出したくなる。
木陰と一本道をゆっくり走る、それだけで楽しい。