エンプティ・スペース 016
コロナ疲れ 
沼畑直樹
Empty Space Naoki Numahata

2020年5月7日

GWが終わった。コロナの自粛中のGWは、なんだか疲れた。

疲れたといっても、長いテレワークの続きで、どこにもでかけられなくて疲れたわけではない。

普段のリズムと違ったから、でもない。

15年前から自宅作業なので、妻がテレワークになったところで夫婦喧嘩が増えたりもしないし、7歳の子どもが小学校にいけずに勉強を教えなくてはならないから。でもない。

すべてはいつも通り。自粛前とそれほど変わりはない。

でも疲れた。

たぶん理由は、やっぱり出かけられないことなのか。

いや、晴れた日には朝早く、4時5時ごろに誰もいない公園沿いの道を走る。それだけでただ気持ちがいい。

子どもは家にずっといると視力が不安になるから、遠くのものを見られるように、車で出かけるようにしている。

車からは降りず、20分ほど走って風景を見て帰ってくる。

近くに大きな公園があるが、駐車場が禁止になると人混みが消えた。そのかわり、ジョギングする人で道が混み合うようになり、散歩をしていても落ち着かないので、公園散歩も控えるようになった。

かわりに霊園を歩いてみると、人が誰もいない。

家族でぐるぐると歩き回った。

運動としてはそれでも足りないので、家での運動を増やすことにした。意識したというわけではなく、シンディ・ローパーのグーニーズの歌を検索していたら、懐かしい『Girls just have want to fun』という歌が出てきた。

聞いているうちに、踊りたくなって、娘と飛び跳ねる。

ジャンプをし続けるというだけで、クラクラしてきた。でも楽しいので、腕を振って、リズムに合わせて飛び跳ねる。

一曲終わって椅子にもたれかかると、気持ち悪くなった。

あくまで、運動不足によるものだ…。

しかし、縄跳び以上の効果あり、散歩以上の効果ありということで自粛中の運動に採用。ジャンプもダンスも、それなりにスペースが必要になる…。

リビングにはテーブルと椅子があり、それを自由に動かすことができる。いつもは端に寄せて、運動できるスペースを大きくしているが、GWは真ん中に置くバージョンにした。自由に動かせるのは、それ以外の家具がないからだ。テレビがあったら、動きは制限される。

テーブルを真ん中にしても、なんとか運動スペースはある。

ここで、曲を流してむちゃくちゃに踊る。

約束事は、リズムに合わせてジャンプすること。それだけ守れば必ず疲れる。

ついでに、歌詞も覚えた。

英語の歌詞を覚えて歌うのはいつも楽しい。

ちなみに、80年代の強く幸せなアメリカを象徴するこの歌は、楽しい歌なのに少し泣けてくるのが不思議だ。

自由に遊ぶことを制限された少女たちが解放されるという心情と未来への希望。コロナで制限された世界の人々の希望と同じなのかもしれない。

ところで、疲れたのは、ジャンプしすぎたせいなのか。

それとも、殺菌の毎日に疲れたのか。ニュースの見過ぎか。

答えは出てないが、

They just wanna

と歌ってむちゃくちゃに踊っている限りは、その「疲れ」が心地いい。

懐かしいオフィシャルだが、この曲は別のアーティストのカバー曲。シンディの独特の歌い方によって国民的名曲になった。今もアメリカ人の体に染み込んでいる。

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この記事を書いた人

『最小限主義。』、写真集『ジヴェリ』『パールロード』他(Rem York Maash Haas名義)、旅ガイド『スロウリィクロアチア』他

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