おじさんの境界線
佐々木典士

大学のゼミや卒論のテーマで「ミニマリズム」はトピックらしく、何度か話をしにいった。

そのとき大学生の女の子が「大人になったら……」と自分の将来のことを語っていたのがおもしろかった。

 

その女の子は、20歳を超えてお酒も飲めるし投票だってできるが、自分のことをまだ「大人」だとは思っていない。

ぼくは自分のことをさすがに「大人」だと思っている。その境界を踏み越えたときはどこかであったはずだが、全然覚えていない。

 

 

だから自分が「おじさん」の境界にいる今を書いておこう。

後でおもしろおかしく読めるように。

 

おじさんの年齢?

 

「おじさん」とはなんだろう。

ネットで雑に調べてみると大体男性で37歳~40歳ぐらいから平均してそう思われるようだ。(ちなみに「おばさん」も大体同じ)

38歳のぼくは「おじさん」だ。

 

では「年齢」で決まるかというと、木村拓哉さんや福山雅治さんはおじさんな気がしない。

では「活躍」していることがポイントかというと、

活躍している佐藤二朗さんや小日向文世さんはおじさんのような気もする。

どうやら「見た目」の若々しさという要素もある。

(ちなみに今の女優さんはおばあちゃんにならないが、オードリー・ヘップバーンがきちんとおばあちゃんになっているのは、やはり美しいと思う。美しいおばあちゃんには違いないけど)

 

 

おじさんっぽいとされる行動もある。

・おしぼりで顔をふく

・人前でオナラする

・くしゃみが大きかったり、痰を吐いたり

・傘でゴルフのスイング

 

どうやらまわりの「目線を気にしない」行動もおじさんっぽいらしい。

ぼくはおしぼりで顔ふくようになりました。

 

「年齢差」もあって、おばあちゃんからは

ぼくもまだ大抵「お兄さん」と呼ばれる。

 

 

武井壮さんも44歳だが、ぜんぜんおじさんな感じがしない。

そんな武井さんのモットーは「自分史上最高!」

確かに、自分もまだまだいけるな! と思うときは、

トレーニングやいろんな趣味が上達したとき。

どうやら「成長」という要素もある。

 

 

といろいろ要素はいろいろ考えられるが、

ようするに「おじさん」というのは何かの蔑称なんだろうと思う。

名前というのは重要で、「おじさん」を

「おっさん」といえば、なぜか大阪のおもろいおじさんがイメージされてくる。

「オヤジ」と言い換えれば、ちょいワルでがんばっている感じがする。

 

 

 

Twitterで見た84歳のosakihirokoさんは、自分のことを「高貴香麗者」と呼んでいてなかなか素敵だ。

78歳でMacに出会ったという。

 

年を重ねると幸福感が高まる?

 

歳をとることはマイナスのイメージがあるが、

幸福感の調査では別で、歳をとると、幸福感が高まっていくという調査がある。

 

・困難や悩みの扱いがうまくなる。

・まわりの目線が気にならなくなってくる。

・「できること」「できないこと」がはっきりし、自分の分がわかってくる。

なんでもできそうな自由、というのは実は苦しい。

・期待値と現実との折り合いがついてくる。

 

などなど。確かにぼく自身も

悶々としていた10代や20代よりも遙かに今のほうが

自分をうまくコントロールできている。

 

そういえば、おじさんおばさんは話しかけてくることが多い気がする。

いい意味で空気など読まない。

 

 

考えてみれば、世の中で年下がどんどん多くなっていくのだから、

部活の後輩のように気にかけてくれて、話しかけてくれているのかもしれない。

 

最近、相席になったときは「自分から話しかけよう」と決めていたのだが、

これも、おじさんになってきている兆候かもしれない。

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この記事を書いた人

作家/編集者。1979年生まれ。香川県出身。『BOMB!』、『STUDIO VOICE』、写真集&書籍編集者を経てフリーに。ミニマリスト本『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』は25カ国語に翻訳。習慣本『ぼくたちは習慣で、できている。』(ワニブックス刊)は12ヶ国語へ翻訳。