原因はよくわからない
佐々木典士

消費カロリー>摂取カロリーであれば痩せる。

消費カロリー<摂取カロリーであれば太る。

ということがよく言われる。もちろん正しいに違いないのだが、ことはそう単純ではないという気がする。

 

 

ジムに行き、筋トレして10km走ると、700kcal以上は消費することになる。それを続けると、体の見た目は変わったところもあるけれど、体重はあまり変らなかった。食もほぼ固定なので、消費した以上に食べているかというとそんなことはなかったと思う。

 

1日1食に変えた人に、筋肉が落ちることもなく体にも大きな変化はなかったという話を聞いたこともある。

運動していても、食を減らしても、それを補おうと体が栄養の吸収力を高めようとする。結果あまり体は変らない。単純な足し算引き算ではなく、そんな働きもあるのではないかと思う。

 

しかし最近になって痩せ始めた。

「こんなに走られるんであれば、軽くしたほうが都合がよい」とようやく体が判断してくれたのかもしれない。

 

ビール酵母の腸への働きを実感するので、それもあるかもしれない。

自力整体を続けて、骨盤まわりの感覚が明らかに変わってきた。それも大きいような気がする。

いろいろなことを始めているのでよくわからない。相乗効果も考えられる。

 

科学の実験であれば、他の条件を同じにして、要素をひとつずつ変えて原因を突き止めるところなのだろう。

しかし実験体は自分だけ。時間も同じところにとどまらず、同じ条件ではない。寒くなってきて、代謝が変わったせいかもしれない。時間のぶんだけ年をとり、自分も変わる。

 

遺伝に関する本を読んでいると、身長の高さを決める単一の「身長遺伝子」などは存在せず、わかっているだけでも数百の遺伝子が身長の高さに関わっていると書かれていた。それと同じようなものだと思う。

 

目に見える結果はひとつでも、それに関係する原因は複雑すぎてよくわからないものだ。

 

できることといえば、うまくいっているのなら、その状態を続けること。そしてこれだけで結果がでますよ、というものは眉唾だと思ってかかること。

 

その道に詳しいひとほど、その道が関われる限界を知っているものだと思う。

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この記事を書いた人

作家/編集者。1979年生まれ。香川県出身。『BOMB!』、『STUDIO VOICE』、写真集&書籍編集者を経てフリーに。ミニマリスト本『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』は25カ国語に翻訳。習慣本『ぼくたちは習慣で、できている。』(ワニブックス刊)は12ヶ国語へ翻訳。