血税とクラウドファンディング
佐々木典士

フリーランスになってからというもの、住民税や健康保険などの税はコンビニで払うようにしている。いつだか、しばらく支払いがたまっていたことがあって、30万円ほどを支払った。

 

 

……すさまじい痛税感。

 

会社員時代は、明細を見て「まあ、持ってかれるもんだよね」と仕方なく思っていたが、

自分で払うようにするとその甚大さがわかる。

 

 

ちなみに健康保険は今年は月に66000円払っていて、最初は年額かなと五度見しましたよ!

 

 

クラウドファンディングの仕組みはすばらしいと思うのだが、

税金や寄付に支払うという行為のハードルは上がってしまったかもしれない。

 

 

クラウドファンディングなら、

「あなたの払った2万円のおかげで、この壁を塗ることができましたよ」とわかる。

誰に支払って、何に使われたかわかるので、気持ちよく払える。

 

 

税金でもあなたの払った税で、この道路の穴ぼこが埋まりましたよ、とわかればこんなに痛税感はないのにといつも夢想してしまう。

 

 

顔の見える相手を応援するために、お金を支払うのは嬉しいことだ。

リターンは、簡単なメッセージだけでいい。自分の払ったお金が確かにどこかで役に立っていると実感できることが嬉しいのだから。

 

 

反対に、顔の見えない相手が、ひょっとしたら無駄に使うかもしれないお金を支払うのは辛い。嬉しいか辛いかを決めるのは金額の多寡ではないということだ。

 

 

痛税感の効果は……税金の使いみちが前よりも気になる。選挙費用に600億もかかると言われると「よっしゃ選挙行ったらんかい!」という感じになるということかな。

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この記事を書いた人

作家/編集者。1979年生まれ。香川県出身。『BOMB!』、『STUDIO VOICE』、写真集&書籍編集者を経てフリーに。ミニマリスト本『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』は25カ国語に翻訳。習慣本『ぼくたちは習慣で、できている。』(ワニブックス刊)は12ヶ国語へ翻訳。